上野鈴本演芸場で元の会社のOB会の暑気払いがありました。毎年８月３日に固定された催しなので、八月上席昼の部は今年も林家しん平の主任席ですが、出演者の顔ぶれは入替えがあって今回もなかなか多彩な出演者で楽しめました。

　データ:

平成２９年８月３日　　鈴本演芸場　昼の部

演芸	出演者	演目	上がり時刻
前座	春風亭一猿	「牛ほめ」	12：17
落語	林家あんこ	「つる」	12：32
奇術	ダーク広和	カードほか	12：45
落語	橘家半蔵	「そば清」	13：00
落語	桃月庵白酒	「浮世床」	13：15
漫才	ホームラン		13：32
落語	柳家はん治	「新居酒屋」	13：45
落語	古今亭文菊	「初天神」	14：03
音楽	のだゆき		14：17
落語	林家正蔵	「読書授業」	14：30
中入り			14：55
曲芸	ストレート松浦	ジャグリング	15：06
落語	三遊亭歌武蔵	漫談	15：17
落語	古今亭菊丸	「看板のピン	15：33
紙切り	林家正楽	お神輿、朝顔市ほか	15：46
主任	林家しん平	「粗忽長屋」　かっぽれ	16：05

入り　開演時　六分　　　中入　八分　　　終演時　九分　終演　16：34

コメント：
　前座の一猿の亭号は春風亭です。してみると春風亭一朝のお弟子かなと見当を付けます。林家あんこは今日の主任しん平の弟子だそうです。「つる」というのは大変不思議な落語です。ダーク広和がカードの手品で客席の視線を引き寄せます。半蔵の「そば清」は別名「蕎麦の羽織」とも呼ばれていますが、そういうと下げが見えてしまうので、粋な感じのする「そば清」の方が好きです。前半の真ん中、白酒が「浮世床」で力量を示してくれました。ホームランの漫才に続く柳家はん治はとぼけた味わいの居酒屋風景。仮に「新居酒屋」と書きました。坊主頭の文菊は海老蔵の弟のような姿で、いま売出し中のようです。ピアニカを手に器用な音楽を演じたのだゆきの後が、今や中堅となった林家正蔵。この日のネタは新作の「読書授業」（仮題）で笑いを取りました。

　中入り後はストレート松浦の器用なジャグリングと巨漢・歌武蔵の漫談に続けて、菊丸がよい味わいの「看板のピン」を聴かせてくれました。主任の前、膝替りの色物は大ベテランの林家正楽で、お客さんの注文を受けてつぎつぎに切り上げる作品はまさに神ワザ（紙ワザ？）です。
　主任のしん平はお馴染みの「粗忽長屋」を自分の工夫で演じた後、得意技の「かっぽれ」はウルトラマンとゴジラの対決で目出度くお開きになりました。

あとがき：
　今年で３回目になる５０人ほどの団体による寄席見物は楽しいものですが、他のお客様のご迷惑にならないように幹事さんが気を配っています。
　近頃の寄席で気になるのは演芸中の私語です。特にグループで来られた方が、傍若無人に話し続けるのは周りの迷惑になります。幸いに私たちの仲間はマナーよく溶け込んで寄席の雰囲気を味わっていました。
　紙切りの芸人さんにに自分の「注文」を伝えて切ってもらうのは勇気がいります。あらかじめ考えておいた「注文」を、大声でタイミングよく叫ばなくてはなりません。
　学生時代に初代の正楽師に寄席で注文して切ってもらった「紙切り」作品が手元にあります。その時は「道成寺」でした。二代目正楽師には「勧進帳」を切ってもらいました。当代（三代目）正楽師の作品が一番多いのですが、ともに大切に残しておきたいと思っています。

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