久し振りの寄席報告です。このところ寄席に行く回数が減っていますが、五月の連休期間中は毎年の恒例で仲間の寄席見物がありますのでこれを欠かすわけにはいきません。
　久し振りの新宿末広亭です。主任の歌丸師が三月に病気で入院という話が伝わり心配しましたが、五月の上席から復帰ということでひと安心しました。当日、連休の合間でしたが末広亭の開場前には伊勢丹側からの路地までお客さんが並んでまずまずの盛況です。


　データ:

平成26年5月2日　　新宿末広亭　昼の部

演芸	出演者	演目	上がり時刻
前座	桂 竹の子	「二十四孝」	11：50
落語	桂　翔丸	「初天神」	11：56
奇術	八重子ﾌﾟﾗｽﾜﾝ	花、リング、ロープ	12：09
落語	桂 枝太郎	「松山鏡」	12：19
落語	桂　歌若	「看板のピン」	12：34
漫才	京丸・京平		12：48
落語	三遊亭遊三	「替り目」	12：58
落語	桂　歌春	「桃太郎」	13：15
紙切り	林家 今丸	鯉のぼり、宝船ほか	13：30
落語	三笑亭夢太朗	「たが屋」	13：45
落語	桂　幸丸	漫談	14：02
曲ごま	やなぎ南玉	地紙どめ、刃渡りほか	14：15
落語	桂　米丸	漫談	14：30
中入り			14：50
落語	桂　竹丸	「童謡の穴」	15：00
漫才	Ｗモアモア		15：10
落語	桂　米助	「猫と金魚」	15：25
落語	雷門 助六	小噺　と　踊り	15：40
太神楽	鏡味正二郎	皿回し、傘まり	15：55
主任	桂　歌丸	「後生鰻」	16：03

入り　開演時　八分　　　中入　満員　　　終演時　満員　終演　16：25

コメント：
　演芸開始から1時間余り、ぼうっとしながら高座を眺めていました。ベテランの遊三が出て余裕のある高座姿で「替り目」を演じる頃から、寄席らしくなってきたように思います。替り目の中で、「海苔があったろう」「ゴムノリかい？」「おれは自転車のパンクを直そうってんじゃあないよ」というのが妙に面白く感じました。歌春の「桃太郎」は飄逸。今丸の紙切りでは「鯉のぼり」や「兜武者」といった季節ネタの注文が目立ちました。続く夢太朗の「たが屋」は意気の良い啖呵で引き締めます。南玉の曲ごまは地紙どめ、刃渡り、風車、糸渡りと定番の芸が次々に披露されますが、楽しいのは下座から聞こえる三味線と唄で、曲芸の演目が変わるごとにいろいろな曲が流れてきます。中入り前の最長老、米丸師は脚が悪いとのことで洋服姿の立ち高座でしたが、淡々とした話の中でお客を惹きつけます。

　中入り後、竹丸の「童謡の穴」と記したのは筆者の心覚えですが、数々の童謡の歌詞に潜む矛盾？をするどく突いて笑いを取りました。米助の「猫金」、助六の至芸「あやつり」踊りのかっぽれがあって、正二郎の太神楽をひざ替りにして主任の歌丸がちゃんと歩いて？高座に座りました。肋骨にひびが入ってひと月入院した経緯についての説明があり、「笑点」は50周年を迎える来年までは勤めたいとの話でした。ネタの「後生鰻」は軽い噺でまだ大事を取っているように見えました。


あとがき：
　新宿の末広亭で改めて場内を見渡すと、昭和30年代から40年代前半、学生時代に通っていたころとほとんど変わっていないことに気づきました。高校の文化祭に末広亭の模型を出店することになり、何度も通って内部の構造を細かく調べたことが思い出されます。
　「聞書き　寄席末広亭」正、続（平凡社ライブラリー　2001年、初出版1980年）という本の中で、初代の席亭が戦後間もない頃、当時としては最高水準の寄席建築を作ったと語っていました。

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