今年は戦後80年ということで、各所で太平洋戦争の回想や評価が取り上げられました。
　「戦争を知らない子供たち」という歌がありますが、昭和21年生まれの筆者もその一人です。
改めて、あの「戦争」が何だったのか？日本人はそこから何を学び、80年間を過ごしてきたのか、少し考えてみたいと思います。

１．戦争を知らない子供たち（作詞：北山修、作曲：杉田二郎）

　　　戦争が終って僕らは生れた
　　　戦争を知らずに僕らは育った
　　　おとなになって歩きはじめる
　　　平和の歌をくちずさみながら
　　　僕等の名前を覚えてほしい
　　　戦争を知らない子供たちさ　　（後略）

　この歌は終戦（敗戦）から25年が経った1970年に作られ、当時耳にした覚えがあります。
　「戦争を知らない」ことが「幸運」であるかのように受け止められがちですが、最近の国際情勢や日本の状況を考えると、もう少し踏み込んで受け止めることが必要です。実際の体験はしていなくても、「戦争をしない」ためには正しく「戦争を知る」ことが大事であると思います。

２．「あの戦争は何だったのか」（保阪正康著 新潮新書）　

　今月、書店で購入した本です。上記の素朴な関心から手に取ってみたのですが、日本の体験した「戦争」の経緯と評価を大まかに知ることが出来るようです。
　明治維新以降の日本が外国からの圧力の中で、日清・日露の二つの争いに勝利したことから、国家体制の中に軍部、軍政、統制という組織権力が拡大していったようです。結果として十分な準備もなく、関係者のそれぞれの思惑の中で大きな戦争に踏み込んでしまいました。
　いきさつはどうあろうとも、国民が大きな負担と苦痛を強いられた「あの戦争」を肯定することは出来ません。


そして・・

　どのような状況にあろうとも「戦争」によって自国並びに相手国の国民、世界全体に大きな苦悩をもたらすことは許されません。そのための心構えは国の在り方だけでなく、一人ひとりの国民の心の中に「平和」を築くことが求められます。

　この歳になって、遅ればせではありますが「戦争に出会わなかった」ことの幸せを思いながら、世界中の人の心から「戦い」が無くなることを祈っています。

以上

令和７年８月３１日　稲林昌二