あちこち歩き：
え～、今年もお正月の初詣に七福神めぐりに出かけました。江戸で最古といわれるのが今回お詣りをした「谷中七福神」です。田端、日暮里から谷中、上野にかけて七つのお寺がよい頃合いに配置されています。だいたいの土地勘を得るために地図で見当つけておきましよう。  左の地図で上の方が北になります。もちろんどこから歩き始めてもよいのですが、今回は田端を振り出しに南へ向かって順に福の神を訪ねることにしました。 昨年お詣りした隅田川七福神には確か神社が二つ入っていましたが、谷中の七福神はすべてお寺です。 初めに七つのお寺を確認しておきましょう。
多くの方がお詣りの起点とする東覚寺あるいは不忍池の弁天堂でもらえるのがこの地図です。どこからでもと言いましたが、同じ日に全部まわるなら南北のどちらかのお寺からスタートしたほうが何かと便利です。
１）最初は田端の「東覚寺」 ＪＲの田端駅北口を出て左方向、動坂下へ向かって道なりに下っていくと右側に東覚寺入口が見えてきます。東覚寺は真言宗豊山派で山号は白龍山、格式のあるお寺と見受けました。本堂の裏には立派な庭園があって、その中に七福神が配置されていて、ひとつひとつ探して歩くのも楽しい趣向です。福禄寿の御像は寺務所の玄関内に安置されてあり、間近く拝観できました。   東覚寺 福禄寿 ２）ちょっと歩けば「青雲寺」 東覚寺を出たら地図をたよりに右手に進んでコの字型に進みます。道がちょっと不安になるかも知れませんが、地図に示されているお風呂屋さん「千歳湯」の煙突が見えたらそこの角を右に曲がって一直線、やがて左側に青雲寺への路地にたどり着きます。青雲寺は浄居山と号する臨済宗のお寺です。境内には滝沢馬琴の筆塚、硯塚の碑もあって、この地が「日暮らしの里」と呼ばれて文人墨客に親しまれた昔が偲ばれます。   青雲寺 恵比須さま ３）となりは布袋の「修性院」 青雲寺から修性院へは迷っているひまはありません。ほぼお隣同士と言ってよい位置関係、それに加えて修性院の赤い塀には布袋様の姿がいくつもタイルで描かれています。ここ修性院・妙隆寺（後に修性院に合併）とお隣の青雲寺は俗に「花見寺」と呼ばれて四季折々の草花を楽しむことが出来たそうです。修性院の布袋様は大きくて迫力がありました。   修性院 布袋尊 ４）谷中の墓地には「天王寺」 修性院を後にしたら、谷中墓地のある日暮里駅前を目指します。道はいくつもあるので、ちょっと迷うかもしれませんが、どうやっても行けます。今回は谷中銀座のある七面坂を選びました。七面坂の階段には「夕やけだんだん」という優しい案内板が出ていました。坂を上がって日暮里駅に近づくと左手には名刹「本行寺」、駅前を右に入って墓地の中を少し進むと谷中の天王寺です。江戸時代には富くじの興行も許されていた大きなお寺で、日蓮宗から天台宗に変わって天王寺と改名される天保四年以前は「感応寺」と呼ばれていたそうです。昭和３２年に焼失した谷中の五重塔は天王寺のものです。毘沙門さまはお堂の奥の方に鎮座していました。   天王寺の門 毘沙門天 ５）同じ谷中の「長安寺」 天王寺を背にしてしばしは谷中墓地の散策です。有名人のお墓を探すのもよいでしょう。墓地内の交番のところを右に曲がって少し歩くと突き当たりに長安寺の入口が見えてきます。長安寺は臨済宗妙心寺派のお寺で、寿老人像は徳川家康公が納めたものといわれています。   長安寺 寿老人 ６）芸大となりの「護国院」 谷中長安寺の前の道を右にとって地図をみながらカギの手に曲がり、言問通りを渡って進むと七福神の六番目のお寺、護国院に突き当たります。上野公園の北側、国立博物館前の道から芸大に沿って左折して不忍池に向かう見覚えのある道に面しています。ここにお寺があったのは知っていましたが、谷中七福神めぐりでお訪ねすることになろうとは思いませんでした。ここの大黒様は家光公より拝領の寺宝で、写真に写っている御前立ちの像の後ろにあるお厨子の中に安置されているのだそうです。   護国院 大黒様 ７）坂を下って「弁天堂」 護国院を後に道なりに池之端を目指すこと約１５分、坂を下って動物園の間の道を進むと見慣れた不忍池の弁天堂に着きました。比叡山になぞらえて東叡山と呼ばれる上野の山に対して、琵琶湖の竹生島を模したのがこの弁天様であるということは広く知られていますが、さて、肝心の弁天様はどこにいらっしゃるのか。お堂の一番奥にお厨子があってその中に在（ましま）すと伺い、内陣に入れてもらって御前立ちの像とともにお厨子の写真を撮ることが出来ました。   ［まとめ］ こうして無事に谷中七福神めぐりのゴールにたどり着いた訳ですが。後日の参考に所要時間と万歩計で測った概略の歩数を示してみます。
実施日：平成１６年１月４日 天気：快晴 風：なし 気温：やや低め このデータを要約すると所要時間が２時間ちょうど、歩数の合計が約８０００歩になりました。ただし区間ごとの所要時間には途中で出会ったお店を覗いていた時間が含まれており、歩数にはお寺の境内を動き回った歩数も入っていますからあくまでご参考ということです。ちなみにこの朝、家を出てから帰るまでの合計歩数は18130歩になりました。 ［成果物］ 何をするにも張り合いというものがあるのはよいことです。出発点の東覚寺で分けていただいた用紙に順にご朱印をいただきながら廻った結果が下の「七福神お揃い」のご集印色紙です。どのお寺でも係の方が待っていて、「お早いお詣りですね。もう少しですよ」などと励ましの言葉とともに御朱印を押して寺名をさらさらと書いてくれました。昨年の隅田川では一体ずつのミニ御像をいただいて、宝船に載せるという楽しみ方でしたが、今年のご集印にも大いに達成感を味わうことができました。  ［ご褒美］  ２時間掛けての七福神めぐりでしたが、途中で少し時間を気にしたのは別の訳がありました。田端の東覚寺から電話をいれておいた根津のお蕎麦屋さんの予約時刻を１１時３０分にしてあったのです。七福神めぐりのゴールとなった弁天堂から不忍通りを北に向かって歩くこと約２０分ちょうどよい時刻にお蕎麦屋さんに入ることが出来ました。お正月ということで、食前酒のサービスがあり、それにつられてついつい美味しいお酒をおつまみとともにいただきました。ゆっくりくつろいでから最後にいただくお蕎麦の味はまた格別で、今年もよい年になりそうな気がしました。早起きして出かけたお詣りのささやかなご褒美といったところです。あとがき： 七福神めぐりはお正月休みの運動不足を補い、新しい年への祈りを込める格好のリクリエーションです。同じ思いの方が居るとみえて、夫婦連れや、知り合いが誘い合わせてのグループがちらほら見られます。それでも混雑するほどの人出ではないのがありがたいところです。東覚寺でいただいたパンフレットによると、七福神にはそれぞれの徳があって、①福禄寿（人望）、②恵比須（正直）、③布袋尊（大量）、④寿老人（長寿）、⑤毘沙門天（威光）、⑥大黒天（富財）、⑦弁才天（愛敬）となっています。つまり七徳です。「人間はいつの時代でも福を願わないものはありません。七徳は人生に欠くことの出来ない要素であります。七神にあやかり精進努力をして明るい生活を送りましょう」と結ばれていました。そうですとも・・そのとおりです。 平成1６年1月２５日 稲林 記
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